鏡の中の七月

プロローグ

 手に感触があった。
 酷く歪む顔があった。
 何故だろう??
 彼は何故何も言わないのだろう??
 手に流れていくものがあった。
 頬に流れていくものがあった。
 それらがなんなのかワカラナイ。

「なんで……、っだよ」

 何か言葉が零れた。
 それは、何かに対する訴え。

「どうしてこんなことになったんだよ、七月」

 彼の歪んだ顔は変わらない。
 彼に答えて欲しかった。
 けれど、彼の唇は緩んだまま動かない。

「どうしてなんだよ」

 本当は、分かっていた。
 彼がなぜ問いかけに応えくれないのか。
 しかし、認めたくなかった。

「なんで、お前はみんなを……」

 認めてしまったら、唯一残った友達を……
 自分が……

「殺したんだよ」

 殺したことを認めてしまうのだから……

2011-02-19 22:06:00( 更新 2011-02-19 22:06:00 )